sleepflower音盤雑記

洋楽CDについてきわめて主観的に語るブログ。

【この1曲】華原朋美「I'm Proud」(「LOVE BRACE」(1996) )

以前、Catherine Anne Davies(The Anchoress)の記事で「著名な男性ミュージシャンがプロデュースした女性アーティスト」というイメージが定着することへの危機感について触れたが、逆に「プロデュースされた女」を自ら全面的にアピールしたのがこの「朋ち…

「Nevermind」Nirvana(1991)

世の中には「メジャー過ぎて今さら買うのが何となく恥ずかしく思えるアルバム」というものがあるが、私にとってはニルヴァーナの2nd「Nevermind」がそれに当てはまる。ニルヴァーナは1stの「Bleach」と3rdの「In Utero」はCDで持っているのに肝心の「Nevermi…

「Tako Tsubo」L'Impératrice(2021)

私のフランスに対するイメージは実にとりとめがない。好きなバンドもダフトパンクだったりIAMだったりGojiraだったりジャンルもめちゃくちゃだ。それでも中学生の頃は「オリーブ」という雑誌に洗脳されて「私もリセエンヌ(→フランスの女子高生)っぽくなり…

「The Art Of Losing」The Anchoress(2021)

もう随分前から女性シンガーソングライターは特に珍しい存在ではないけれど、プロデューサーやレコーディングエンジニアとなると現在でも女性の比率は格段に低いようだ(全体の2%しかいないという話もある)。確かに私も女性の映画監督というのは割とよく聞…

「Some Friendly」The Charlatans(1990)

シャーラタンズは英国ノースウィッチ出身の、マッドチェスター・ムーブメント全盛期に登場し、現在も根強い人気を持つUKロックバンドである。マッドチェスターというのはストーン・ローゼズやハッピー・マンデーズ、インスパイラル・カーペッツなどマンチェ…

「Move To This」Cathy Dennis(1990)

キャシー・デニスといえばカイリー・ミノーグの「Can't Get You Out of My Head」やブリトニー・スピアーズの「Toxic」、ケイティ・ペリーの「I Kissed a Girl」など数々のヒット曲のソングライターとして知られ、今や本国イギリスではアイヴァー・ノヴェロ…

「Dreamtime」The Cult(1984)

80年代半ばの英国ロック界において、現在ではほとんど死語となっている「ポジティブパンク」というジャンルがあった。今はこの辺のバンドは「ゴシックロック」と言われているけれど、当時から「ゴシックロック」と言われていたバウハウスやシスターズ・オブ…

「In Memory Of My Feelings」Catherine Anne Davies & Bernard Butler(2020)

バーナード・バトラーは今はプロデューサーとして活躍している人だけど、やはり私みたく90年代UKロックをリアルタイムで聴いている人にとってはスウェード時代の印象が強い。よくよく考えてみるとスウェード作品でバーナードが関わっているの最初の2枚だけ…

【この1曲】Paul Weller「Earth Beat」(「On Sunset」(2020) )

「On Sunset」はポール・ウェラーのソロとして15枚目のアルバムである。「そんなにたくさん出してたのか」というのが正直な気持ちだ。私自身が途中でUKロックを全然聴かなくなった時期があったので作品のいくつかが記憶から抜け落ちているのだと思う。比較的…

【この一冊】 Paolo Hewitt「Paul Weller : The Changing Man」(2007)

ポール・ウェラーの伝記や評伝はいくつかあるのだけど、この本はウェラーの同郷かつ長年の盟友であったパオロ・ヒューイットの著書ということでとりわけ話題性の高かったものである。「盟友であった」、と過去形なのはこの本が出版された少し前に著者がウェ…

「Colour by Numbers」Culture Club(1983)

今から考えるとカルチャー・クラブというのは一体何だったんだろう。いい曲は多いのだがボーイ・ジョージのドラえもん体型と奇妙奇天烈なファッションのために半ばコミックバンド的な扱いをされていたように思われる。元々顔も体もでかかったのだが一時期は…

【この1曲】The Style Council「Angel」(「The Cost of Loving」(1987) )

愛聴盤には2タイプあって、「大好きという自覚があって、事実何回も聞いてしまう盤」と、「そんなに好きという自覚はないのだがよく考えてみると何度も聴いている盤」というのがある。私にとってこのスタイル・カウンシルの3rdアルバム「The Cost of Loving…

【この1曲】Asking Alexandria「Someone, Somewhere」(「Reckless & Relentless」(2011) )

長年バンドをやっていると音楽性がデビュー時からどんどん変わっていくのは自然なことなのだけど、例えばマニックスの「Motorcycle Emptiness」のように初期のアルバムにその何年も後のバンドの音楽的方向性を予感させる曲というのはあって、Asking Alexandr…

【この1曲】BABYMETAL「DA DA DANCE(feat. Tak Matsumoto)」(「Metal Galaxy」(2019) )

前作から3年以上のブランク。その間に小神様ことギタリストの藤岡幹大氏の急逝やYUIMETALの脱退などバンドが危機に追い込まれる事件が相次いだ。そんな数々の苦境を乗り越えてリリースされたBABYMETALの3rdアルバム「Metal Galaxy」は各8曲からなるCDの2枚組…

【この一曲】B'z「ultra soul」(2001)

今、B'zの「兵、走る」が数あるラグビー日本代表応援ソングの中でもとりわけ人気のある曲のようなのだけれど、その原点となるのが「ultra soul」であることは間違いない。「ultra soul」は2001年世界水泳@福岡の公式テーマ曲なのだけれど、当時の私は水泳に…

【この一冊】Sara Hawys Roberts and Leon Noakes 「Withdrawn Traces: Searching for the truth about Richey Manic」(2019)

マニック・ストリート・プリーチャーズ(以下「マニックス」)及びリッチー・エドワーズに関する伝記やバンドヒストリー本はこれまでにも何冊と出版されているが、「Withdrawn Traces」の注目すべき点はリッチーの実妹のレイチェルさんが全面的に取材協力を…

「Hot Space」Queen(1982)

映画「ボヘミアン・ラプソディ」の大ヒットで現在日本でも空前のクイーンブームなのだけれど、クイーンが何故世界で最も早く日本のファンに注目され現在も続々と若いファンを増やしているのかというとひとえに彼らが「日本で受ける要素が揃っているバンド」…

【これを見た】Paul Draper日本公演(2019/Mar/6-Mar/10)

90年代ブリットポップ終焉期に独自の世界観をもつ楽曲群で日本でも人気を博していたマンサン(Mansun)のフロントマンであったポール・ドレイパー(Paul Draper)のソロとしての初来日である。マンサンとしての最後の来日から19年経っているから当然ファンは…

【この一曲】Bring Me The Horizon「mother tongue」(「amo」(2019))

で、早速先日リリースされたばかりのBring Me The Horizon(以下「BMTH」)の6thアルバム「amo」なのだけど、実はこのアルバムが2019年初頭にリリースされるという話が前年の夏に出たときに「オリバー(Oliver Sykes)がインタビューにて、新譜「amo」(←「…

「That's the Spirit」Bring Me the Horizon(2015)

最初にBring Me the Horizon(以下「BMTH」)という名前を見たのは確かBullet For My Valentine(以下「BFMV」)のいつぞやの来日公演(←調べたら2010年だった)の時のスペシャルゲストとしてだったと思う。その時の来日公演は見逃してしまってその後しばら…

「Dare」The Human League(1981)

前回がABBAだったので今回は「エレクトリック・アバ」と言われたこともある英国シェフィールド出身のエレクトロ・ポップバンドのヒューマン・リーグを取り上げたいと思う。元々ホール&オーツがきっかけで洋楽の世界に入った小学生の私をたちまちUK派にして…

「Voulez-Vous」ABBA(1979)

スティーヴン・ウィルソンがこの前の11月に来日した時に、ライブのMCでポップミュージックの素晴らしさを散々説いた挙句に世界最高のポップバンドとしてビートルズとABBAを挙げたり、客席を見て色んなバンドのTシャツを着ている人がいると言って自分のファン…

【この一曲】「Solara」Smashing Pumpkins(2018)

最近、ビリー・コーガンがオリメン復帰後初となる新譜リリースを控えインスタグラムでファンからのQ&Aに盛んに答えているのだけど、その中で「世界中のファンが(オリメン復帰の)スマパンに来てもらいたいと懇願している中で何故日本はそれほどでもないのでし…

「Revolver」The Beatles(1966)

私はあまりオンタイムでなかった時代のロックの名盤を遡って聴くことをしないタイプなのだけれども、このビートルズの「Revolver」はそんな数少ない名盤の一つである。私が本格的に洋楽にハマるちょうど1年前の小学5年生の時にクリスマスプレゼントにジョ…

【この一冊】Brett Anderson「Coal Black Mornings」(2018)

今回は曲やアルバムでなく、音楽本を取り上げてみたいと思う。スウェードのフロントマンのブレット・アンダーソンが自伝を出版するという話は昨年春頃から出ていて、その時の記事ではスウェードのデビュー前のメンバーで当時ブレットの彼女だったジャスティ…

【この一曲】Blur「Caramel」(「13」(1999))

前回の記事でブラーの「13」について少し触れたので、ついでにこのアルバムについてもう少し語ってみようと思う。前作「blur」(あるいは「無題」)は従来のブリット・ポップ路線から音楽性を大胆に転換し結果的に大成功したアルバムであった。それに比べる…

【この一曲】Mansun「Forgive Me」(「Little Kix」(2000))

作品だけ聴けば充分に良い作品なのにその作品の背景やアーティスト本人が否定的立場をとっているために何となく微妙な評価をされているアルバムというのがあるが、マンサン(Mansun)の3rdアルバム「Little Kix」もその1つである。プログレッシブ・ロック的要…

【この一曲】Manic Street Preachers「Condemned to Rock 'n' Roll」(「Generation Terrorists」(1992))

今でこそKscopeとか現代プログレとかプログレッシブメタル周りのバンドばかり聴いているけれども、このブログのタイトルが示す通り私は元々マニック・ストリート・プリーチャーズのファンなのである。「プログレ否定のパンクロックの流れを汲むマニックスと…

「Atone」White Moth Black Butterfly(2017)

前回の続きみたいな愚痴話なのだけれど、実質的に同じような音楽性を持ちながらその出自ゆえにこのバンドはメタル、このバンドはオルタナと言った特定のカテゴリーに収められることで他のジャンルのファンに興味を持たれなくなってしまう状況は実にもったい…

「Spooky Action」Paul Draper(2017)

プログレッシブ・ロックというと日本ではどうしても例の70年代英国五大バンドやユーロロックやカンタベリー系周りのイメージが強いし、NHK-FMの「プログレ三昧」みたいな番組や洋楽誌のプログレ特集でも大体この辺しか取り上げてなくてドリームシアターみた…