sleepflower音盤雑記

洋楽CDについてきわめて主観的に語るブログ。

「The Second Stage Turbine Blade」 Coheed and Cambria(2002)

今回紹介するのはNY出身のコヒード&カンブリアの1st「The Second Stage Turbine Blade」 である。タイトルに「Second」が入っているが1stアルバムである。ちなみに2ndアルバムが「In Keeping Secrets of Silent Earth: 3」、3rdアルバムが 「Good Apollo, I'm Burning Star IV」と1つずつ番号がずれているのはこの一連のアルバムのベースとなっているSFストーリー「The Amory Wars」の章にそれぞれが対応しているからで5thアルバム「Year of the Black Rainbow」で第1章に戻りさらに6thと7thの「The Afterman」でその前の時代を扱っている。何とも複雑な構成だが「The Amory Wars」のストーリーが分からないとバンドのアルバムの作品が楽しめないというわけでは全然ない。

現在はメタル的文脈で語られることの多いバンドだしファンもメタル畑の人が大半だと思うのだがこの1stアルバムは全然メタルではない。実際ヴォーカルを聴いていても(巷でよく似ていると言われる)ゲディ・リー(RUSH)というよりマイケル・ジャクソンとかスクリッティ・ポリッティとかプラシーボ(←まあこれもゲディ・リーみたいだと言われることが多いが)みたいな非メタルのアーティストばかりが連想される。というか声を聴いている限り性別すらあやふやである。何というか向こうの女子高生が一生懸命声を張り上げて歌っているような曲が多い。デビュー作だし一応コンセプトアルバムなので多分本人たちは大真面目に作ったんだと思うがヴォーカルが面白すぎて何度聴いても笑ってしまう。

 声だけでも充分ネタになるのだが、それ以上に衝撃的なのはヴォーカリストのクラウディオ・サンチェスのルックスである。名前から容易に想像される通りの濃厚ラテン系の顔立ちに加え凄まじいボリュームの長髪に顎ヒゲという暑苦しさ200%だ。どう考えてもルックスから想像される声はデス声か低音朗々歌い上げ系であろう。声を聴いてうっかり「萌え~」と思ってバンド写真を見たらショックを受ける人は多いのではないだろうか。だってメンバーの中で一番暑苦しいのがよりによってあの可愛い声のヴォーカリストなんだもん。まあよく見れば熊さん的可愛らしさもあるんだけどね(笑)。これが時代を下っていくと次第にヴォーカルがメタルっぽい骨太さを得て外見とそれほど違和感がなくなってくるのだが、このバンドを語る上で欠かせないヴォーカリストの声とルックスのギャップのインパクトは1stが一番である。前述の通りメタルというよりエモに近いのでメタルファンにはイマイチなアルバムだろうがやはりC&Cならではの仕掛けはたくさんあってバックグラウンドはどうであれ「プログレっぽい」のが好きな人はハマるんだろうと思う。ええわたしはまんまとハマりましたとも。しかし似たような曲が多くて何度も繰り返し聞かないと曲名と音が一致しないのは単にこっちの年齢のせいなんだろうか。