sleepflower音盤雑記

洋楽CDについてきわめて主観的に語るブログ。

「Fever」 Bullet For My Valentine(2010)

わたしが2000年以降リアルタイムで追っている唯一のバンドがブレット・フォー・マイ・ヴァレンタイン(以下「BFMV」)であることは以前に書いた。興味を持ったきっかけが「マイ・ブラディー・ヴァレンタインと紛らわしすぎるバンド名」と「マニックスと同じウェールズ出身」という、全然メタル関係ないじゃん的ノリからBFMVを聴き始めたのであるがこれが個人的には大当たりで一時期はずーっと1st「The Poison」をリピートしっぱなしであった。ちなみに「ルックスが良いので女性ファンに人気」と言われているらしいのだがそこまでイケメンか?と思ってしまう。まあイケメンとか関係なくキャッチーでありながら英国産特有の一抹の憂愁漂うメロディーの楽曲群は確かに女性にも充分アピールしうるとは言えるかもしれない。

Fever

Fever

3rd「Fever」は「あまりに売れ線狙いすぎ」とBFMVファンの間でも賛否両論のアルバムである。メタルコア的「The Poison」からよりメタル色を強めた2nd「Scream Aim Fire」によってHR/HMファンにもアピールしたが「Fever」はその「Scream Aim Fire」に比べるとメロディー重視というかポップというかわかりやすいというか確かにへヴィー度はだいぶ後退しているし「メタルバンドとしてのBFMV」を期待すると裏切られ感は否めない。

わたしはHR/HMに関してはそんなに熱心なリスナーでないし多分ここで書いていることは実際は全然ピント外れなんだと思うが、この「Fever」というアルバムはNWOBHMLAメタルなど80年代をリアルタイムで通過している人間にとっては「とても懐かしい」感触を覚える。わたしは当時デフ・レパードが大好きで特に彼らの全米大ヒット作の3rd「Pyromania」は現在でも個人的洋楽アルバムのトップ10に入ると思っているのだがやはりデビュー時のNWOBHM色強かった頃ののデフ・レパードのファンだった人たちからは「売れ線狙い」「アメリカに媚びすぎ」と散々に叩かれたものだ。しかしどんなにアメリカのマーケットを意識した音作りを狙っても根っこのところはやっぱり英国産のバンドにしか出せない独特のウェットな翳りがあってそれが「Pyromania」の魅力であったことは確かだ。「Fever」は直接的にデフ・レパードに似ているところはほとんどないのだが(強いて言えば「A Place Where You Belong」あたりにそれっぽい空気を感じる)、「Fever」でBFMVが意図していたことは多分「Pyromania」「Hysteria」期のデフ・レパードとそう変わらないものであっただろうし、その狙いは充分に成功したといえる(全米3位)。アメリカのマーケットを意識したカラッとした開放感あふれる音作りが前面に出てはいるものの1stからのNWOBHMっぽさも健在であり、この辺の絶妙なバランスが「Fever」の成功の要因だったんじゃないかと思う。しかしこれと基本的に同じ路線の次作「Temper Temper」は…まあその話はまた別の機会に(正直書きたくないかも)。