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sleepflower音盤雑記

洋楽CDについてきわめて主観的に語るブログ。

「Everything and Nothing」 David Sylvian(2000)

わたしにとってデヴィッド・シルヴィアンはどちらかというと「ジャパンのフロントマン」というよりソロ・アーティストとしての印象が強い。多分シルヴィアン作品で一般的に最も人気があるのはジャパン後期~ソロ3作目までだと思うのだが、この辺のアルバムは実はほとんど持っていない。(ただしソロ3rd「Secrets of the Beehive」だけは持っていて、確かに傑作であると断言できる)「後期ジャパンのYMO臭が鼻につく」「シルヴィアンの歌い方がニューロマすぎる」「そもそもバンドなのにシルヴィアン1人に印税が入る仕組みなのが納得いかない」等いろいろ理由はあるのだが何と言ってもこの辺の作品群はリマスターがしょっちゅう出るので「今あわてて買わなくてもすぐにもっといい音質のが出るんじゃないか」と購入に踏み切れないというのが大きい。正直いつも同じ作品のリマスターばかり再発するより現在入手困難なシングルB面曲(CDだからカップリング曲というべきなんだろうけど)集とかのほうがありがたいんだけどな。

Everything & Nothing

Everything & Nothing

 

「Everything and Nothing」はデヴィッド・シルヴィアンが長年在籍していたヴァージン時代の未発表曲やリマスターなどを集めたコンピレーションアルバムである。時系列無視無視でソロ時代とジャパン時代のが雑多に並べられているのでいわゆる「シングル集」とか「ベスト盤」というのとは毛色が違うのであるが、個人的にはシルヴィアン作品の美点が凝縮された、真の意味での「ベスト」盤と言うべきものだと思っている。何と言っても1枚目の冒頭「The Scent of Magnolia」から5曲目「Ride」までの流れが素晴らしい。「Magnolia」も「Ride」も当時制作していたアルバムのトータルイメージに合わないので除外したというものなのだが、曲のクオリティは非常に高い。ジャパン時代の作品からソロ作品、坂本龍一ロバート・フリップ等他アーティストとのコラボ作品、さらに「レイン・トゥリー・クロウ」からの曲などデヴィッド・シルヴィアンの活動範囲の広さと音楽性の幅の広さが俯瞰できる作りとなっておりシルヴィアンを初めて聴くという人にも自信を持って薦められる。もちろん「シルヴィアンの声だけでご飯3杯いける」というファンにとってはまさにうってつけのアルバムであることは間違いない。多分このアルバムのCDプラケースの謎の白米の写真はそういう意味のメッセージなんだと思う(←ウソ)。ただジャパン時代の大ヒット曲「Ghosts」のリミックスだけは余計だと思う。正直オリジナルバージョンは上で文句を言った「歌い方がニューロマすぎる」の典型だし本人もヴォーカルを入れ直したい気持ちはとてもよくわかるのだが、声が朗々としすぎててghostって感じが全然しないんだもん。

こだわりを持ったベスト集なので捨て曲は全くないのだが、特に傑出していると思うのは上記「Magnolia」と「Ride」の他は坂本龍一の「Heartbeat (Tainai Kaiki II)」そしてミック・カーンとの共作「Buoy」。