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sleepflower音盤雑記

洋楽CDについてきわめて主観的に語るブログ。

【この1曲】Japan「Television」(「Adolescent Sex」(1978))

裏雑記等で度々書いているがわたしはジャパンについてはかろうじて「Tin Drum」(1981)からがリアルタイムでデヴィッド・シルヴィアンについてはソロ時代の作品しかCDで持ってない。一般的にはニューロマンティクスの先駆者的イメージが強いジャパンだが初期の彼らはどちらかというと後のLAメタルとか日本のヴィジュアル系と共通する派手というかケバいルックスだったしデヴィッド・シルヴィアンのヴォーカルもジャパン後期やソロ時代とは全然違って濁声のロックンロールスタイルなので後追いで聴くと「まるで別人じゃん」と違和感を覚えるものだ。実際シルヴィアンにとってもジャパンの最初の2枚のアルバムは黒歴史らしい。しかし彼が全否定するほど初期のジャパンはダメな存在ではない。ハードロックとR&Bとパンクを無理やり詰め込んだような楽曲群は充分にアグレッシブでそれゆえに「ロック的」といえるものだ。その中でもこの「Television」という曲はとりわけ革新的である。何と9分を超える長尺曲だ。当時パンクによってプログレ的重厚長大が徹底的に否定されたばかりの時代において結構勇気のある試みじゃないだろうか。


Japan - Television - YouTube

 デビュー作「Adolescent Sex(邦題「果てしなき反抗」)」のラストを飾る曲である。ディスコ音楽を無理に引き延ばしたような単調なメロディーがダラダラと続く曲でデビシルのヴォーカルも実に投げやりなんだが曲全体を支配する何とも気だるくて頽廃的な雰囲気のひんやりとした音作りが印象的である。このダラダラと歌われる感じは(よく聴くと全然似てないのだが)スクリッティ・ポリッティの「Lions After Slumber」(1982年)を彷彿とさせる。しかし「Television」が尋常でないのはこのクールで気だるい感じから後半に入って徐々に激しいギターによるブレイクが繰り返し現れシュールでカオティックな展開になっていくところである。終盤はノイジーなギターがフィーチュアされ突然(今となってはレトロ感あふれる)テレビゲーム的ピコピコ音で曲が唐突に締めくくられる。

ジャパンというバンドがタダモノでないことを如実に示す曲である。わたしがこの時代から洋楽ファンだったとしてまずジャパンを見て「何このバカっぽいバンド」と拒否反応を示したとしてもこの「Television」1曲でファンになれる自信がある。ちょうど実際に初期マニックスを初めて見たときに「こんなバンドのファンだけにはなりたくない」と思ってたのに「Condemned to Rock'n Roll」1曲でその決意をあっさりひっくり返されたのと同じようなパワーと吸引力をこの曲は持っていると思う。

しかしこの「誘惑スクリーン」という邦題は何とかならなかったのかな。