sleepflower音盤雑記

洋楽CDについてきわめて主観的に語るブログ。

「Periphery」Periphery(2010)

ペリフェリーというバンドは全く偶然に、それも音楽と全く関係ないところから知ったバンドである。仕事でperipheryという単語の意味を調べたくてgoogleにかけたら「アメリカ合衆国メリーランド州出身のプログレッシブ・メタルバンド」というのが一番最初に出てきて「何、プログレメタルだと!?」と思わずその場で音源を聴きたくなったがそこは会社なので家に帰って速攻YouTubeにアップされている2ndアルバムをフルで聴いたところ「これはすごい」と圧倒されたものである。特許明細書にperipheryという単語を使ってくれたN東電工には感謝しないといけないな(笑)もっともデビシルの伝記本に最近「On the Periphery」というタイトルのが出ているからどの道ペリフェリーに出会うのは時間の問題だったかもしれん。

 ペリフェリーはよく「Djent」というジャンルの立役者的(生みの親はメシュガーらしい)な言われ方をされているようなのだが、たまにピロピロ弾かれるギターソロを聴くと「あーやっぱりドリムシ好きだな(笑)」と思ってしまう。しかし「プログレッシブ・メタル」といっても往年の一ジャンルとしての「プログレ」的なものがほとんど感じられない点で真に「プログレッシブ」というか「近未来的」と形容しうるものだ。もっとも「メタル」の部分が「メタルコア」なので「メタルコアなんてメタルじゃないやい」と思っている人にはやはり苦手な要素の多いバンドじゃないだろうか(特にヴォーカルに好き嫌いが分かれそうだ)。一方でジャンルはどうであれ超絶技巧&難解な曲展開が好きな人にとってはご飯三杯モノなバンドだろう。

Periphery

Periphery

 

 「Periphery」はペリフェリーの1stアルバムである。セルフタイトルが示す通り、ペリフェリーのアイデンティティーたる要素が詰め込まれている作品だと思う。ジャケットを見ても全然メタルな要素が皆無である(むしろテクノ系と思ってしまいそうだ)。似たような曲が多いので最初から聴き始めるとどれが何という曲かわからないまま(曲の終りにメンバー紹介のナレーションが入る斬新な(?)構成の「Icarus Lives」は別)なんとなく最後まで通して聴けてしまう。似たような曲が多いのに退屈しないのは静と動、殺伐とした部分と抒情的な部分、難解な部分とわかりやすい部分が交互にあらわれるからなんだろう。この静かで抒情的な部分にOceansizeと似た響きを感じるのは気のせいなのだろうか。正直Oceansizeとはギター3本というところしか共通点がなさそうな気もするが、実際ペリフェリー自身FacebookページでOceansizeの「Only Twin」を「おすすめ」として挙げているようなので彼ら(というかミーシャか?)も好きなんだろう。

アルバム最後を締めくくる「Racecar」は15分を超える大作である。1曲の中で繰り返し現れる静と動のコントラストがドラマチックだ。しかし散々盛り上げておいて最後が大人しくフェードアウトというのは何だか物足りないというか尻切れトンボ感がするのは気のせいだろうか。何だお前この前はドリムシの「The Looking Glass」については唐突に「ジャーン」と終わるのに文句言ってたくせにと言われそうだがエンディングというのはそれだけ難しいものなんである。