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sleepflower音盤雑記

洋楽CDについてきわめて主観的に語るブログ。

「Our Favourite Shop」The Style Council(1985)

ポール・ウェラーの経歴において不当に過小評価されているのがスタイル・カウンシル(以下「スタカン」)であることは以前のポール・ウェラーのソロ1stの記事にも書いた。今から思うと確かにジャズとかR&Bとかフレンチポップみたいな既存の「オシャレ」といわれる音楽を無批判にパクっているような楽曲が多かったので、NMEみたいなうるさ型の雑誌には受けが悪かったのも理解はできる。アルバムのタイトルからして「カフェ」だの「ショップ」だのまるでファッション雑誌の記事みたいだし初期の彼らの格好もおフランス趣味丸出しで今振り返ってみると結構気恥ずかしいものがある。しかも彼らはこれをギャグではなく大真面目にやっているのだからなおさらタチが悪い。さらにタチが悪いことに日本人はこういうのが大好きである。いわゆる「渋谷系」の走りみたいなものじゃないだろうか。最近の神楽坂に行くとよくわからんフレンチとかカフェとか建ち並んでいていかにもオシャレな雰囲気を演出しようとしているのが見え見えで萎えるが、まさにこのノリがかつてのスタカンを思い出させてどこか懐かしい気持ちにさせられる。

と散々バカにしているような書き方をしているがわたしはスタカンが大好きだったのだ。スタカンのおかげでR&Bに目覚めたと言ってもいいぐらいである(それまでホール&オーツのようなR&Bから出発したバンドも聴いていたのだが、当時小学生だった自分にはそのR&Bの部分がピンとこなかった)。後期にはアシッド・ジャズのブームの中核となるトーキング・ラウド一派のアーティスト達との関わりも興味深い。 

Our Favourite Shop

Our Favourite Shop

 

 「Our Favourite Shop」は一般的にはスタカンの代表作といわれる2ndアルバムである。UK好きとしては「favourite」というスペルが学校で習うアメリカ英語(favorite)と違うのがいい。ジャケットのデザインから収録曲まで全てが洗練されてて、かつポジティブな雰囲気に溢れていて当時の彼らの勢いと自信が伝わってくるような傑作だ。なおジャケット写真の本人たちの後ろに「アナザーカントリー」のポスターがあって、当時「彼らはそういう趣味なのか?」と勝手に萌えていた腐女子もいたらしい。「Walls Come Tumbling Down」「The Lodgers」等多くのシングル曲があるが何と言ってもミック・タルボットのオルガンが大フィーチュアされたインスト「Our Favourite Shop」が出色である。この曲をタイトル曲に持ってくるという点でミック・タルボットはスタカンサウンドの要であって、アンドリュー某などと一緒くたにして「もう1人」扱いすることなどとても失礼な話なのである。「誰だよアンドリュー某って」と思う人は今後の記事に期待していてください。