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sleepflower音盤雑記

洋楽CDについてきわめて主観的に語るブログ。

【この1曲】TesseracT「Nocturne」(「Altered State」(2013))

英国ミルトン・キーンズ出身のテッセラクト(TesseracT)というdjent/プログレッシブメタルバンドはよくペリフェリーと比較されるバンドのようで以前から気になってはいたのだがなかなか手を出せていなかったのはヴォーカルが作品ごとに違うのでどれから聴いていいのかわからなかったからである。どうやら歴代ヴォーカリストの中ではダニエルという人とアッシュという人が人気でYouTubeではどっちが上とかしょっちゅう対立しているようなのだが、Twitterでこの2人の名前を日本語で検索するとバウハウスのギタリストのダニエル・アッシュばかり出てきてしまう。一体何年前で時間が止まってるんだよ(って全く同じことを考えたわたしも人のことは全く言えないんだけれども)。ちなみにテッセラクト(tesseract)というのは四次元超立方体(4D Hypercube)の一種の名前である。だったら「Hypercube」のほうが名前としてわかりやすいだろうにと思ってしまうが調べてみたら既にそのようなバンドが別に存在しているようだ。まあtesseractのほうが理系っぽくてオタク心を刺激していいかもしれんけどな。実際に新作「Polaris」日本仕様盤の叩き文句が「UKプログレッシヴ・メタル幾何学の定理を解き明かす!」だもの。何だか昔のデビシル1stアルバムのコピー「美の因数分解」というのを思い出しちゃったよ。もう誰も覚えてないかもだけど。


TESSERACT - Nocturne (OFFICIAL VIDEO) - YouTube

今回紹介するのはそのアッシュ(Ashe O'Hara)がヴォーカルの2nd「Altered State」の「Nocturne」である。この曲をいわゆる「メタル」として聴くと違和感を覚えてしまうんじゃないだろうか。まずアッシュのヴォーカルとコーラスが全く「メタル的」じゃない。1st「One」の時のダニエル(Daniel Tompkins)もクリーンパートが時々U2のボノみたく聞こえる場面があったがアッシュの場合まるでテイク・ザットやワン・ダイレクションみたいなボーイズグループみたいな歌い方なんである。ルックスもヒゲ剃って痩せれば充分アイドルとして通用しそうな可愛らしい顔立ちなのに何の因果でこんなメシュガーフォロワーから出発したメタルバンドで歌ってるんだろうか。しかしこのアッシュの天使のような清冽で甘美なハイトーンヴォーカルこそがテッセラクトを他の量産型Djentバンドとは決定的に一線を画す存在に進化させたと言われているのだから侮れない。「Altered State」も最早Djentというよりアンビエント色の濃いプログレッシブ・メタルという風情の作品で、この後に現代プログレシーンを牽引するKscopeレーベルに移籍というのもとても納得な内容なのである。残念ながらアッシュはこの2nd「Altered State」1枚でバンドを抜けてしまい1st「One」のヴォーカルだったダニエルが復帰したのだがファンの間では好意的な意見が多い中「え~今さらダンかよぅ…」という声も少なくないんである。そう言いたくなる根拠は多分ダニエルが歌う「Nocturne」だろう。下の動画は昨年ダンが復帰したときのライブである。


TESSERACT - Nocturne (OFFICIAL LIVE VIDEO ...
ダンもパワフルなヴォーカリストだけどやっぱり「Nocturne」の高音パートになるととたんに音が外れたり声が裏返ったりで苦しそうである。歌い回しを大幅にアレンジして自分の歌にしようとする努力は買うしステージパフォーマンスはさすがにカッコいいけどやっぱり「Nocturne」の最大の魅力は透明感あふれるハイトーンヴォーカルだったから「アッシュって凄かったんだな…」と思ってしまう。まあKscope移籍第一弾となる新作「Polaris」も予告編を聴く限り大いに期待できそうだからこのまま頑張ってほしいけどね。