sleepflower音盤雑記

洋楽CDについてきわめて主観的に語るブログ。

「One Love」Blue(2003)

「また紛らわしい名前シリーズかよ」と思う方もいるかもしれないが、私が2000年頃に半分ネタで半分真面目に追っていたのがブルーというボーイズグループである。同じイギリス出身の4人組だしきっとブラー(Blur)ファンからは相当ウザがられてたんじゃないかと思う。ちょうど活動期間がテイク・ザットが解散~再結成の間にあたり、隙間をついたと言っては悪いが当時解散で傷心のテイク・ザットのファンを上手く取り込んだところはあるんじゃないかと思う。
ブルーが他のボーイズグループと一線を画すところがあるとすれば、それはかなり本格的なR&B路線だったところだろう。大体メンバーに黒人(サイモン・ウェッブ)がいるところからしてかなり「反則」である。普段はこのサイモンとリー・ライアンが曲の大半を歌い、その次がアントニー・コスタだったので歌におけるダンカン・ジェイムズの出番はあまりなかったんだが実際はダンカンがブラッド・ピット似ということでファンの間ではダントツ一番人気だった。この辺が何というかやっぱりボーイズグループならではの現象という感じだが、メンバーのルックスを抜きにしてもR&Bをベースとした洗練された雰囲気の楽曲群は聴きごたえのあるものが多かった。実際デビュー曲「All Rise」に始まり「Too Close」「If You Come Back」と立て続けにヒットを飛ばし、解散までの3枚のアルバムは全て全英No.1という人気ぶりであった。しかしその後各メンバーはソロとして活動を始めるものの、誰一人としてグループ時代ほどの成功を収められなかった(後に再結成するものの新作の売れ行きは芳しくなく今年4月にはソニーから契約解除を受けてしまっている)。特にリーは最初の解散以降、暴行事件やら飲酒運転やらで2度も逮捕されたりで悲惨なことになっている。正直言ってリーなんてルックスもいいし歌だって文句なしに上手いしこれで売れないほうがどうかしていると思ってしまうのだが、例えばニュー・キッズ・オン・ザ・ブロック時代に「次代のジョージ・マイケル」と高い評価を受けていたジョーダン・ナイトでさえソロでの実績は微妙だったことを考えるとやはりグループとして一旦大成功を収めてしまうとソロになってもグループ時代のイメージを延々と引きずることになって苦しいんだろう。SMAPの連中が40になってもソロにならずグループとして活動を続けているのは多分自分たちの芸能人としての価値がSMAPという肩書きがあってこそであることをよく理解しているからなのだろう。誰もがロビー・ウィリアムズになれるわけではないことをボーイズグループの連中は肝に銘じるべきである。つい先日ワン・ダイレクションを脱退したゼインがソロ活動を始めるようだが果たして上手くいくんだろうか。 

One Love

One Love

 

 「One Love」はブルーの2枚目のアルバムである。やはりタイトル曲の「One Love」が突出しているが、エルトン・ジョンとの共演で話題を呼んだ「Sorry Seems To Be The Hardest Word」や人気曲「U Make Me Wanna」も収録されている。しかし今聴き返すと全体的には結構地味なアルバムだ。よくこんな「落ち着いた」雰囲気のアルバムが全英1位を獲得したものである。当時の彼らの勢いがいかに凄かったかが伺えるというものだ。ちなみに手持ちのCDにはCDエクストラとして「Blue in Japan」なるものが入っているが来日時の映像でも入ってるんだろうか。彼らのルックスにはさほど興味はなかったので一度も見ていないけれども。