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sleepflower音盤雑記

洋楽CDについてきわめて主観的に語るブログ。

「Spice」Spice Girls(1996)

スパイス・ガールズはイギリスに限らず世界的にもガールズグループとして最も成功したグループである。全盛期の彼女たちの人気というのはそりゃすごかった。何といってもその辺で売ってるポテトチップスのパッケージにまでなっていたんである。しかも各メンバーごとなので5種類の味があったわけだ(1997年冬にロンドン旅行に行ったときにこれらを食べ比べしたことがある。メラニーCのが一番おいしかったような)。彼女たちがいかに音楽ファンだけでなく一般の人たちの間でお茶の間レベルで親しまれていたアイドルだったということをこの件ひとつとっても充分体感できた。
もちろんそれ以前からアイドル的な人気を持つガールズグループというのはイギリスには存在していた(ノーランズバナナラマ等)が、最初から各メンバーにそれぞれ明確なキャラを与えてニックネームで呼ばれるようにしたのは男女グループ合わせてもスパイス・ガールズが初めてじゃないだろうか(SMAPも各メンバーのキャラが明らかだが意図的なものかは不明)。例えば金髪ロリ顔のエマは「ベイビー・スパイス」、赤毛の姐御ジェリは「ジンジャー・スパイス」といった具合だ。キャラがバラバラなので当然ステージでの服装も統一感がないのだが、その辺も自然体で親しみを覚えるものだったと思う。しかも日本のアイドルと同じように「どのメンバー推しか」で盛り上がることもできた。ちなみに私は最初から「ポッシュ・スパイス」たるヴィクトリア推しだったが正直言って当時の彼女は愛想もない(そういうキャラ設定なのでしょうがないんだが)し曲の中でもリードを取る場面がほとんどなかったんで実に地味な存在だったと思う。後にデヴィッド・ベッカムが彼女に猛アタックしたと聞いて「さすがベッカム様お目が高い」と思ったがそのせいで日韓W杯の時期には巷のベッカムファンから「あんな女のどこがいいの~」と散々ヴィクトリアの悪口を聞かされる羽目になって閉口した。スパイス・ガールズは日本にはプロモ来日だけしてコンサートは行っていなかったので当時の人気はオアシスやブラーほどではなく現在も「ベッカムの奥さんのいたグループ」という認識の人のほうが多いんじゃないかと思うが海外での人気ぶりはそれは凄いものだったらしい。何しろデビューアルバムが本国だけでなく全米でもNo.1、シングルも「Stop」を除くすべてのシングル曲(9曲)が全英1位を獲得している(そのうちの8曲は初登場での1位)。特にデビューシングル「Wannabe」は世界31カ国でチャート1位という超大ヒットである。全米チャート第1週で11位というのは、ビートルズの記録(12位)を抜いたらしい。
しかしそんな破竹の勢いだったスパイス・ガールズも98年のジェリ・ハリウェルの脱退により急速に失速する。スパイス・ガールズが体現する「ガール・パワー」の熱心な支持者でありグループの実質的なリーダーであったジェリの脱退の影響は大きくその後にリリースされた3rdアルバムは全米39位という惨敗ぶり。1996年のデビューからたった5年後の2001年に活動休止となった。アルバム3枚残して解散というのはテイク・ザットやブルーも同様なのだが、いかにこの系のアイドルグループが安定した活動を続けるのが難しいかがわかるというものだ(1993年からずっと活動中のバックストリート・ボーイズは例外中の例外だと思う)。現在のNo.1ボーイズグループのワン・ダイレクションは昨年4枚目のアルバムを出してこのハードルを破っているかに見えるが今年5月のゼインの脱退以降メンバーのゴシップネタが絶えず心配だ。

Spice

Spice

 

 「Spice」はスパイス・ガールズのデビューアルバムである。冒頭の「Wannabe」から「Say You'll Be There」「2 Become 1」と立て続けに大ヒットのシングルカット曲が続くがその他の収録曲もR&Bをベースとしたキャッチーでしかも洗練された雰囲気の曲が揃っている。決して1人1人の歌唱力が突出しているわけではないが、当時の破竹の勢いが反映されたようなアルバム全体感を覆うキラキラ感と幸福感は何物にも代えがたいものだ。しかしテイク・ザット→バックストリートボーイズ→ワン・ダイレクションといつの時代も常にトップグループが存在するボーイズグループに比べて女性のほうはかつてのスパイス・ガールズに匹敵するグループがまだ出てきていないのはさびしいことである。女性ソロアーティストは百花繚乱なのに不思議なことだ。最近「ワン・ダイレクションの妹分」と言われている、あのマンサンのアルバムの名前みたいなグループ(←どうやらリトル・ミックスのことを言っているらしい)はなかなか勢いがあるようだけどまだ若いしこれからのさらなる活躍に期待だね。