sleepflower音盤雑記

洋楽CDについてきわめて主観的に語るブログ。

【この一曲】Steve Jansen & Richard Barbieri「Sleepers Awake」(「Stone To Flesh」(1995))

私の無駄に長い音楽人生の中で後悔しているものの一つに「もっとJAPAN関連を真面目にフォローしておけばよかった」というものがある。どうもJAPANというと当時大人気だったロック漫画「8ビートギャグ」に代表されるミーハー腐女子的ノリが苦手で当時はあまり入り込めなかったのだ。デヴィッド・シルヴィアンの作品を集めだしたのが今から10年ぐらい前なのだけど、「何でしょっちゅう日本に来ていた90年代の頃にライブ見に行かなかったかなぁ~」と今頃になって後悔の嵐である。デビシルでそれなのだから他のJAPANのメンバーのミック・カーンやスティーヴ・ジャンセンやリチャード・バルビエリなど全くのノーマークで気がついたらミックは他界してるし悔やんでも悔やみきれない。この辺をJAPAN解散直後からちゃんと追っていたらもっと早くにポーキュパイン・トゥリーに出会えたのかなぁと思うと悔しさ倍増である。

「Stone To Flesh」はジャンセン&バルビエリ名義では3枚目のアルバムとなるが、その他にもこの2人はDolphin Brothers名義のアルバムもあるしミック・カーン加えてJansen/Barbieri/Karn名義でも作品を出しているので、実際は何枚目のアルバムといっていいのかよくわからない。いずれにせよ全部持っている人は相当なJAPANオタだと思う。デビシルの作品は全部持ってますという人でも、JBK関連の作品までコンプリートしている人はなかなかいないんじゃないかという気がする。現在これらの作品の大半が廃盤になっているが、「Stone To Flesh」は一昨年にKscopeからリイシューが出たため比較的手に入りやすいと思う。その他の作品も個々のソロアルバムも含め今Kscopeがぼちぼち再発を頑張っているので今後に期待したい。


Mick Karn with Richard Barbieri, Steve Jansen and Steve Wilson - Sleepers Awake live

これはジャンセン&バルビエリがミック・カーンやスティーヴン・ウィルソンと共に1997年に赤坂BLITZで行われたLUNA SEASUGIZO主宰のAbstract Dayというイベントに出演した時のライブである。「Sleepers Awake」は躍動感あふれるインスト曲で「Stone To Flesh」の中でも出色の曲だが、なぜこのバージョンをあえて選んだのかというととにかくミック・カーンのプレイが素晴らしいからである。正直言ってミックのベースとスティーヴン・ウィルソンのギターが突出して過ぎて肝心のジャンセン&バルビエリの演奏を見落としがちになってしまうのが難点だが、この鬼気迫る白熱した演奏を聴くと「レイン・トゥリー・クロウとはいったい何だったのか」と思ってしまいたくなる。元JAPANのメンバーが再集結したことで話題を呼んだこのプロジェクトは1989年から制作を開始し1991年にセルフタイトルのアルバムがリリースされたが、JAPANというよりはそれまでのデビシルのソロの延長みたいな作品だったし彼のバックバンド扱いされた他のメンバーはさぞかし不満だろうなと思っていたらやはり当時のロッキング・オンのインタビューでデビシル除く3人たちがデビシルの事をボロカス貶していて「あーやっぱり」と思ったものである。この辺のドロドロ話はミック・カーン自伝やデヴィッド・シルヴィアン伝(「On the Periphery」邦訳)に詳しいが、このプロジェクトが転機となって元JAPANのメンバーの活動がそれぞれ新たなフェーズに入った印象がある。今から思うとデビシルロバート・フリップと共演していた時期に、他のメンバーたちはスティーヴン・ウィルソンと共演しているという事実が、何か不思議な縁のようなものが感じられて仕方がない。もっとも当時のSWは上の動画では名前も出してもらえないほど無名だったけどな(笑)しかしこの時に赤坂BLITZの彼らのライブを見に行った人たちは絶対勝ち組だと思う。当時はブリットポップ全盛期で自分もそっちに夢中だったからこんな貴重なライブやってたなんて全然知らなかったよ(涙)