sleepflower音盤雑記

洋楽CDについてきわめて主観的に語るブログ。

【この一曲】Bring Me The Horizon「mother tongue」(「amo」(2019))

で、早速先日リリースされたばかりのBring Me The Horizon(以下「BMTH」)の6thアルバム「amo」なのだけど、実はこのアルバムが2019年初頭にリリースされるという話が前年の夏に出たときに「オリバー(Oliver Sykes)がインタビューにて、新譜「amo」(←「愛」という意味)には自身の離婚が反映されていることを発言」という記述を見て物凄く既視感というか嫌~な予感がしたのだった。だって別離がきっかけで作られた、「愛」がテーマのアルバムと聞いたらMansunの「Little Kix」じゃん(←BMTHの記事見てそんなこと考えたの多分私だけだっただろうな)。しかもオリバー既に再婚してるしどうせ「前は離婚で痛手を負ったけど今は新しい愛を得て幸せさ~」みたいな展開な、甘々メロディー満載のポップアルバムなんじゃないの?と物凄く捻くれた見方をしたものである。しかし実際に「amo」を聴いてみるとニュースリリース当時のこの捻くれてると思われた推測もあながち間違いではなかったと思うのは自画自賛だろうか(笑)。「MANTRA」(←何故かこの曲だけ大文字)「wonderful life」「suger honey ice & tea」みたいな前作「That's the Spirit」の延長的な位置づけの曲もいくつかあるものの例えば「ouch」「fresh bruises」みたいなエレクトロニカ丸出しの曲を聴くと「おいちょっと待て一体どこへ行くんだよ」と思ってしまうし「medicine」はキャッチーだけどロックというより最早ポップだし極めつけは「heavy metal」というタイトルなのに「残念これ全然ヘヴィーメタルじゃないw」みたいな内容なので前作までは何とかついてこれたファンも音だけ聴くと「え~これどうしよう」という印象になってしまうのではないだろうか。しかしその「ouch」、実は歌詞を見ると前作収録の「Follow You」の歌詞の一部を借用していてしかもそれがオリバーの離婚した前妻でタトゥーアーティストのハンナに対する当てつけみたいな毒たっぷりの曲なので侮れないのである。ハンナとの別離をテーマにした曲は他にも「medicine」「in the dark」等何曲もあって「よほどトラウマだったんだろうなぁ」と思われるのである。まあこのブログのメインの読者向けに例えて言えば彼らはデーモン・アルバーンジャスティーン・フリッシュマンみたいなパワーカップルだったので、離婚の精神的なダメージもそれだけ大きいことだっただろう。まあ色々言いたい放題したけれども何だかんだで私は今回の新譜は気に入っているのである。恐らく今のBMTHはクイーンやU2みたいな、特定のジャンルで語られることを必要としない普遍的なバンド(最早バンドですらなくコンセプトかもしれないが)になりつつあるのだろうし、この際次のアルバムもこの調子で突っ走って毎回ファンを挑発してもらいたいものである。本来彼らのようなバンドこそ「プログレッシヴ」という形容がふさわしいのだけれどね。


Bring Me The Horizon - mother tongue (Official Audio)

この「mother tongue」は当初私の邪推に近い予想の「今は新しい愛を得て幸せさ~」の部分に相当する曲で、オリバーが一昨年に結婚したブラジル人モデルのアリッサの事を歌ったこれまたキャッチーでポップな曲である。歌詞の中に「So don't say you love me; fala, "amo"」という一節があり、ある意味この曲がこのアルバムのタイトル曲的な位置づけと言ってもいいだろう。「英語でなくて、君の母国語で愛を語ってよ」という内容の曲なのだけれど、「fala, "amo"」はアリッサの母国語であるポルトガル語で、本来ならここは「fala, "te amo"」(「愛してる」と言って)だったんじゃないかと思うのだけど歌に乗せるときにフィットしなかったのかもしれない。実はこの新譜のタイトルが「amo」と聞いたときに「何だPhoenixの「Ti Amo」みたいじゃん」と思ったのだけれどPhoenixの「Ti Amo」はイタリア語なので、同じ「amo」でも言語が違うのである。でもこの今回のBMTHの新譜、「Ti Amo」が好きな人が聴いても多分違和感ないと思うよ(笑)