読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

sleepflower音盤雑記

洋楽CDについてきわめて主観的に語るブログ。

「In Absentia」 Porcupine Tree(2002)

裏雑記にも書いたがこのポーキュパイン・トゥリーというバンドは前々から気になってはいたものの、名前を知った頃には既にたくさんアルバムが出ていたので最初に何を聴いたらいいのか分からず散々迷ったものである。例えばドリーム・シアターなら「Images and Words」、スマッシング・パンプキンズなら「Siamese Dream」と「Mellon Collie and the Infinite Sadness」と「とりあえずこれを聴いとけ」みたいな代表盤がすぐに思いつくのだが、PTの場合はそれがどのアルバムに相当するのか長年のファンの間でも意見が割れているようだ。このバンドはよく「現代のピンク・フロイド」みたいな形容をされることが多いようなのだが、わたし自身はそのピンク・フロイドの曲をよく知らない(←但しシド・バレット時代のはかなり好き)ので、それがどれだけ的を射た表現なのかはわからない。一つ言えるのは、プログレNWOBHMからニューロマ、ネオサイケ、シューゲイザー、さらにブリットポップに至るまでジャンルを問わずUK出身バンドに共通する「英国らしさ」を愛好する者にとっては物凄くツボなメロディーと音世界を持つバンドであるということだ。そういう意味では現在このバンドがカテゴリに入れられている「プログレッシブ・ロック」よりさらに上位概念的に「ブリティッシュ・ロック」と形容されるべきバンドなのかもしれない。特定のカテゴリに収まりきらないところはラッシュとも共通するし、その辺がジャンルの細分化の激しい現在の洋楽市場において売りどころに苦戦しているように思われる。

In Absentia

In Absentia

 

 この「In Absentia」はギャビン・ハリソン(dr)の加入により現在のラインナップとなった最初のアルバムであり、PT作品の中でも多分もっともへヴィーでラウドなアルバムなんじゃないかと思う。いわゆる「プログレッシブ・メタル」と言ってもいい作品だろうし、本作に影響を与えたと言われているOpethはもちろん、例えばドリムシのファンにも充分アピールしうるキャッチーさも有している。とはいえ一方で全くヘヴィーでなくむしろ静かで内省的・幻想的な作風の楽曲も多いので、純正メタラーにはやはりピンとこないところもあるだろうと思う。しかしその内省・幻想・耽美・憂愁・陰鬱な音世界こそがPTならではの個性なわけでその辺はやはり「プログレッシブ・メタル」というよりは「メタリック・プログ」と言うべき立ち位置なんだろう。しかし、ラウドな楽曲と静かな楽曲が混在しながらアルバムの統一感は保たれており全体を通して非常にポップでありながら決して売れ線狙いでないところは見事(この点次作の「Deadwing」は後半はともかく前半が妙に売れ線狙いっぽいのが好かん)であり個人的にはこのアルバムを彼らの代表盤というか「初めに聴く一枚」に推したいと思っている(「Fear of a Blank Planet」「The Incident」はもっと好みだがコンセプトアルバム的な作りだし第一暗い曲ばかりなので万人にはお勧めしない)。

それにしてもこの購買意欲を著しく減退させる不気味なジャケットはどうにかならんのだろうか。