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sleepflower音盤雑記

洋楽CDについてきわめて主観的に語るブログ。

「White Feathers」Kajagoogoo(1983)

今から振り返ると80年代UKバンドの、いわゆる「アイドル」的な扱いをされていたバンドには意外に演奏力がしっかりしている人たちが多かったことに気がつく。特にベーシストに関しては90年代のマンチェスターブリットポップのバンドよりも上手い人が多かったのではないだろうか。ジャパンのミック・カーンしかりデュラン・デュランジョン・テイラーしかり。中でも今回取り上げるカジャグーグーのベーシストのニック・ベッグスは今や某プログレ雑誌の人気投票でもゲディ・リー(RUSH)やクリス・スクワイア(YES)に割って入るほどの実力派なわけだが、デビュー当時のカジャグーグーのイメージは「デュラン・デュランの弟分」というものだった。実際デュランのニック・ローズが見出したバンドであるし人数もバンド編成もデュラン達と同じだったから当時「RIO」の大ヒットで飛ぶ鳥を落とす勢いだったデュラン達の二匹目のドジョウを狙いたいレコード会社の思惑も充分理解できる。しかしこう言っては身も蓋もないがメンバーのルックスが比較対象のデュラン・デュランに比べると数段落ちる印象だ。元々フュージョン系の地味な実力派集団「アール・ヌーヴォー」に童顔で甘いルックスのリマールをフロントマンに据えて無理くりアイドルっぽく仕立て上げただけのバンドなのだから仕方がない。同じくアイドル扱いだったカルチャー・クラブも実際はボーイ・ジョージとその他だったしむしろデュラン・デュランが別格すぎたんだろう。

君はTOO SHY (期間限定盤)

君はTOO SHY (期間限定盤)

 

オリジナル盤(原題「White Feathers」)はもっと地味で知的な雰囲気のジャケットだったんだが、日本盤はこのように独自の邦題(「君はTOO SHY」)がつけられた上にメンバーの顔写真が全面的にフィーチュアされたもので当時のレコード会社が彼らをどのように売り出したかったかが見え見えだ。 しかし内容は恐ろしくレベルが高い。デビューアルバム同士の比較で言えばこのカジャグーグーの「White Feathers」はデュラン・デュランのファーストよりも完成度が高いというか「スキ」がない。ただデビューアルバムの完成度が無駄に高いバンドというのは案外長続きしないもので、このカジャグーグーもこのアルバムを出して間もなくヴォーカルのリマールが脱退してしまう。直接の原因は印税の取り分でリマールとその他4人がもめたことだったらしいがリマール脱退後にリリースされた2nd「Islands」がフュージョン色強い作風に変わったところをみると元々音楽的指向の相違もあったんだろう。しかしニック派のわたしもこの1stに関してはやはりリマールの貢献が一番大きかったと認めざるを得ないし、カジャグーグーのイメージの大半をリマールの甘いルックスとヴォーカルが担っていたことは確かで、リマール脱退後のカジャグーグーが急速に失速したのもある意味当然と言える。このアルバムは何と言っても日本盤のタイトル曲である「Too Shy」がもっとも知名度が高いが個人的なお勧めはロマンチックな旋律とリマールの甘いヴォーカルがひたすら美しい「Hang On Now」とアイドル売りするにはもったいない演奏力を証明するインスト曲「Kajagoogoo」である。しかしバンド名をそのままタイトルにした後者がリマール抜きのインスト曲なところが既にこのバンドの将来を暗示していたというのは考え過ぎなんだろうか。