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sleepflower音盤雑記

洋楽CDについてきわめて主観的に語るブログ。

「Odyssey: the Destroyer of Worlds」Voices From The Fuselage(2015)

Voices From The Fuselage(以下「VFTF」)は英国ノーザンプトン出身のプログレッシブ/オルタナティブロックバンドである。ここで度々取り上げているAshe O'Hara(元TesseracT)が元々在籍していたバンドで、2011年末に4曲入りEP「To Hope」をbandcamp経由でリリースし、その後2012年にAsheがElliot Colemanの後任ヴォーカリストとしてTesseracTに加入したことで活動を休止していたのだが2014年にAsheがTesseracTを脱退したのを受けて活動を再開したものである。この「Odyssey: the Destroyer of Worlds」はVFTFの初のフルアルバムであり、既に昨年夏にbandcampやiTunes等デジタルダウンロードでリリースされていたものであるが、つい先日(このアルバムにも参加している)John MitchellのレーベルWhite Starと正式契約しこのたびめでたくCDリリースとなったものである。これを機に日本盤も出てくれるといいのだけど、何しろカテゴライズの難しいバンドであるので、 取り上げてくれそうな雑誌も日本ではちょっと見当たらないのが何とももったいないことである。Asheもルックスはアイドル級なのにな~(←「ただのデブいヒゲのオッサンじゃん」という意見は却下)

Odyssey: the Destroyer of Worl

Odyssey: the Destroyer of Worl

 

 その経緯からどうしてもTesseracTと比較されることが多いのだが一言で言ってVFTFの音楽はTesseracTに比べて非常に甘口である。以前別のブログで「究極の癒し系メタル」と書いたことがあるのだが、音はかなりヘヴィーでありながら全くうるささを感じさせないのはAsheの天真爛漫かつ透明感あふれる優しいヴォーカルを最大限に尊重した音作りによるところが大きい。全体的に叙情的で繊細で美しいメロディーの楽曲が揃っており、プログレッシブメタルのカテゴリとはいえ全然難解じゃないしむしろ非常にメロディアスで優しい作風なのでメタルは苦手という人にも自信を持って勧められる1枚だと思う。Asheがヴォーカルの「Altered State」はTesseracTの作品の中でも特に評価の高いアルバムで、人によっては最近作の「Polaris」よりもこっちのほうが好きという意見もあるようだが、「Altered State」は例えて言えばとびきり上質なチョコレートを赤ワインと一緒にステーキのソースにかけてその一見ミスマッチのようで実際は絶妙なコンビネーションを感心しつつ味わうようなところがあるのだが、「Odyssey: the Destroyer of Worlds」は同じチョコレートにクリームを混ぜて練り上げたひたすら口どけなめらかなトリュフみたいなところがある。高級料理のアクセントに使われるのもいいけどやっぱりチョコレートはチョコレートとして食べたいんだよね~。ただ「Odyssey~」はTesseracT時代と違いAsheの本来の声域で歌われているため「Altered State」での彼の超絶ハイトーンヴォーカルが好きな人にとっては本作は少々物足りなく感じるかもしれない。むしろ最初のEP「To Hope」のほうが全体的に高い声域で歌われているので聴きごたえあると思うが、ハイトーンだけがAsheの売りではないし、むしろ彼の中音域のウォームで甘さを帯びた優しいヴォーカルも充分注目に値するものだと思う。本来ならメジャーに売れてもおかしくないぐらいわかりやすく親しみやすいメロディーを持ったバンドなので今後も頑張ってもらいたいものである。っていうか本来今年中に2ndアルバムが出る予定だった気がするのだが一体どうなったんだろう。